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2005/09/14

「愛ルケ」菊冶と柾木愛造

日経で連載中の小説、「愛の流刑地」の感想です。
エントリ内に成人向けな表現があるので、注意して下さい。

意味のない癒し画像↓
inspire

今さらだけれど、冬香が死んだということに驚きを隠せません。
確かに冬香は何度も「首を締めて」と菊冶に懇願していたし、
菊冶もそれに答えてはいたけれど・・・。
まさか、そのプレイの延長で死ぬなんて。
ぶっちゃけ、なんちゅうアホくさい死に方だろうと( ̄∇ ̄|||)
和服・不倫・腹上死至上主義かいな・・・。

冬香がどうやら死んだらしい、という書き方がしてあっても、
不倫のためならどこまでも行く、体力ありまくりのあの冬香の
ことだから、きっと息を吹き返すと思っていました。
気絶していたという事にでもして、ここらで冬香を生き返らせて
おかないと、菊冶はエスカレートして本物のネクロフィリアにな
りそうな勢いです。朝からキモすぎです(´_`;)

今朝の連載を読んでいると、私は、乱歩の「虫」を思い出します。
残酷な性格を持つ木下芙蓉という美女に対して、変質的な愛情
(愛情とも呼べない醜い感情なのですが)を抱く柾木愛造。
柾木という男は、幼少の頃から人嫌いで内向的で、感情表現が
下手、自分の作った幻想の中に生きる男です。
柾木はストーカーまがいに芙蓉を追いかけ、男との逢瀬をのぞき、
最後は芙蓉の首を締めて殺してしまいます。
その後、死体を捨てられず、死体の思わぬ美しさにひかれ、保存
しようとしたりもしますが、最後は柾木も腐った死体の死毒で死ん
でしまいます。芙蓉の腐った腹の肉をつかんだままで。

「虫」のなかに出てくる、死体を何とか保存しようと右往左往する
柾木の様子と、「愛の流刑地」の菊冶が自主しようか、冬香の死
体をどうしようかと迷ったあげくになぜか散歩に出かけてしまう所
は少し似ています。
犯行の後、精神的に追い込まれた柾木が通りがかりの警官に、
「おまわりさん。近ごろ残酷な人殺しがあったのをご存知ですか。
~中略~教えてあげましょうか。教えてあげましょうか。」と話し
かけるシーンがあります。
「愛の流刑地」の菊冶も犯行後、「おーい、ここに美しい人が倒れ
ていて、殺したのはこの俺だよー」と外に向かって叫びたくなる、
というようなシーンがありましたね。

柾木も菊冶も、どこかがオカシイ人には違いありません。
でも不倫・性愛から思いがけず冬香を絞め殺して、自主するか迷
っている菊冶に比べて、愛情が憎しみに変わって芙蓉を殺したけ
れど、やっぱり最後は愛情からネクロフィリアになってしまう柾木
は、まだマシなようにも思えてくるんです。
ネクロという意味で柾木は異常者だけれど、犯行にいたるまでに
充分人物の肉付けができているので、のめりこめるし、作品として
成り立っているんです。
菊冶のほうが冷めているというか、冬香の体にばかりこだわって
いて、おまけに保身まで考えているのが悲しいです。

私は乱歩が好きで、小さい頃からよく読んでいました。
「芋虫」「虫」のような作品でも、残酷なだけではない、人の悲しさ
やエロスがあふれているところが好きです。
「鏡地獄」「目羅博士の不思議な犯罪」の独特の読後感も好き。
推理ものも、こういうじっとりとした湿り気を感じる作品も書ける乱歩
は凄い

・・・って、だんだん話が主題から離れていってます(笑)

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